バイオリン属は横板から表板、裏板が2~3mmほど飛び出していて縁のようになっています。
この縁ですが、新作楽器の場合はすべての箇所で均一な幅になっています。(精密に作られていることが前提)
しかし、古い楽器の場合は縁がすり減ったり横板が歪んだりした結果、ある部分は縁の幅が妙に広いのに、ある部分は極端に狭いといった現象が起こります。
酷いときは横板のほうが縁から飛び出していることも珍しくありません。
こういった場合は内部でブロックやライニングが剥がれていることもあります。
ある程度は仕方ないのですが、修理で表板や裏板を開けた際は、なるべく縁の幅が全体的に均一になるように修正します。
摩耗している箇所には新たに木片を足し、歪みが大きい場合は楽器の輪郭に沿った型を作り、横板の歪みを矯正することもあります。
こういった縁の幅を整える作業自体に特に呼び名はないと思いますが、以前誰かがエッジコントロールという言葉を使っていたような気がします。
高い技術で修理されている楽器は全体的に縁の幅が均一に整えられていて、結果的に楽器全体がビシっと締まって見えます。
また、縁のニス合わせに関しても、いい加減な修理は適当に汚してあるだけで見た目が悪いですが、丁寧な修理は古い楽器の雰囲気を上手に出してあります。
こんな目立たない部分一つ取っても修理した職人の腕は確実に出ます。
横板に限らず楽器の歪みを矯正することは音の面でも重要ですが、エッジコントロールだけで音が劇的に良くなることはおそらくありません。
私の場合どちらかというとそうしたほうが見た感じきれいだからという理由が強いです。
おそらく演奏する方はほとんど気にしていないと思いますが、私たちは日々そんなことに頭を悩ませながら楽器と向き合っております。